ミームの現在

ミームの現在

進化生物学者、動物行動学者のリチャード・ドーキンスが定義した「ミーム」memeは、「文化的遺伝子」とも言うべきものだ。彼がこの言葉を世に出して、その概念は、生物学を超えて多くの分野にも広く世間に広まった。

しかしこのミームも含めて、前世紀末に出てきた様々な生物学にも連なった文化的な概念は、それなりに大幅に変化を遂げているように思える。
現在のそこにはネットが介在している。ネットによって、文化的な伝播が大きく変わったのだが、それはメディアの特性として広く伝わるというだけでなく、変化の周期が早くなって起こる「変異」にある。

その一つの例として挙げられるのは、「選挙」であり、情報伝達が大きく重要な要素を占めている。
世界では、おそらく世界中で同様な現象が起きていて、国によって表現形は少しずつ異なっるが、本質的には同質だろう。
例えば、アメリカ大統領選と、日本の兵庫県知事選は、規模は異なるが質的には似ている。
こういう現象では、政治的な「保守」「革新」というの要素は二次的なもので、むしろ伝染しやすい心理的な操作に核の部分があるのが現状だろう。

もちろん選挙戦に見られる現象は、短期なものであり、それが「遺伝的」とも言える相応の時間に適って質が形成されるものであるかはわからない。ただ現状では大きな変化をもたらしているし、その衝撃が「突然変異」のようなものを生み出す可能性もあるかもしれない。

シミュレーションでは、プログラミングの遺伝的特質を極めて短時間に周期の世代交代で持って「進化」させたりするが、今の社会は実際の人間の特質を変えるのをより短い時間で可能とするような環境があるように思える。

アーティストのマルセル・デュシャンは、「
芸術には、あらゆる芸術理論を台無しにしてしまうという素敵な性質がある」と言ったが、こういう過激な文化現象は、どのような局面でも起こっている。
ミームがつなげていく「文化」も、変化する。




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