キャシー・アッカーの本

キャシー・アッカーの本

"Childlike Life of the Black Tarantula"というキャシー・アッカーの1978年に出版された本が恵比寿映像祭でガラスケースの中に本そのものとタイプライターで打たれたものが展示されていた。Childlike Life of the Black Tarantula
Kathy Acker
この小説は冒頭にこのような言葉が書かれている。
「意図: 他の殺人者の人生を言葉で繰り返すことによって、私は殺人者になる。」( Intention: I become a murderess by repeating in words the lives of other murederses)

主人公は、1827年にもともとは裕福な家庭に生まれた女性で、彼女の激しく変化する生い立ちの話だ。
この話は、時代は異なるものの、著者アッカーの生い立ちと重なっているのではないかと、読み進めるうちに思えてくる。

実際にキャシー・アッカーは、ニューヨークの裕福な地区で母と継父(実父はキャシーが生まれる前に母と死別)に育てられた。18歳で家を出てストリッパーとして働く。風俗業界に身を投じたことで、彼女はNYのアートシーンで注目を集めた。また流行に敏感だったロバート・メイプルソープに写真を撮られた。
この本が書かれた頃、ニューヨークのビレッジ界隈では、アッカーの本は大人気だった。
1947年生まれでパンクな衣装でかためた派手な美人で、その小説はぶっ飛んでいて難解。77冊の本を出した。ドラッグに溺れたり、社会主義にハマったり、スピリチュアルであったりして、人生を駆け抜けて97年にメキシコで死んだ。

Code&Modeでは、彼女の「
Hello. I'm Erica Jong」を店頭に並べている。まだこれから書庫から出して、少しずつ並べていくつもり。

恵比寿映像祭になぜ彼女の本が並べられていたのかはよくわからないのだが、周囲にある映像作品は70年代のものが多かった。
この時代をアッカーの小説との共振で捉えられる人は稀有だ。

 




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